日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
転移巣切除を繰り返しつつ長期生存が得られた胸壁平滑筋肉腫の1例
長井 信二郎今西 直子三浦 幸樹松岡 勝成植田 充宏宮本 好博
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2017 年 31 巻 6 号 p. 747-752

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抄録

症例は56歳女性.左側胸部の疼痛を伴う膨隆を主訴に受診した.左第8肋骨を中心に長径約6 cmの紡錘形腫瘤を認め,左第7,8,9肋骨を含む胸壁切除および胸壁再建を行った.腫瘍はαSMAおよびDesminに陽性を示し,平滑筋肉腫と診断した.術後1年11ヵ月で単発の肝転移に対し肝部分切除を行い,術後13年間で計3回の肝転移巣切除,計3回の肺転移巣切除,および仙骨への転移再発に対する陽子線治療を行った.術後14年3ヵ月の時点で無再発生存中である.胸壁発生平滑筋肉腫は極めて稀な疾患であり,本邦では本症例のような複数回の転移巣切除を伴う長期生存例は報告がなく,文献的考察を加えて報告する.

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