日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
膵管内乳頭粘液性腺癌術後の孤立性肺転移に対する一切除例
池 創一上田 和弘村上 順一田中 俊樹濱野 公一
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2017 年 31 巻 6 号 p. 758-762

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抄録

症例は80歳代,女性.膵頭部腫瘍に対して幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が施行された.病理所見から浸潤性膵管内乳頭粘液性腺癌(intraductal papillary mucinous carcinoma,invasive:浸潤性IPMC),pT3N0M0,Stage IIIと診断された.術後2年の胸部CTで肺野結節影を指摘され,増大するため診断と治療を兼ねた胸腔鏡下左肺下葉切除術(ND2a-1)及び舌区部分切除術が施行された.腫瘍のHE病理組織像は既往の膵腫瘍の組織像と酷似しており,さらに免疫染色所見が一致したため,浸潤性IPMCの肺転移と診断された.浸潤性のIPMCは予後不良で,その肺転移巣を切除することは極めて稀である.原発性肺癌との鑑別が困難な浸潤性のIPMCの孤立性肺転移に対して診断的意義を含んだ根治切除を施行した.

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