2017 年 31 巻 6 号 p. 763-770
外傷性横隔膜ヘルニア4例を検討した.症例1:転落外傷でくも膜下出血や肝損傷を合併した右横隔膜ヘルニアを受傷10日目に直接縫合した.症例2:交通外傷で硬膜下血腫,くも膜下出血を合併した右横隔膜ヘルニアを受傷9日目に直接縫合した.症例3:転落外傷で多発骨折と肺挫傷を合併した右横隔膜ヘルニアを経過観察中,肝臓の胸腔内脱出が悪化し翌日直接縫合した.症例4:交通外傷でくも膜下出血,腎損傷を伴う左横隔膜ヘルニアを受傷当日開胸で直接縫合した.結語:全例横隔膜の直接縫合閉鎖が可能で,受傷から手術までの期間はそれぞれ10,9,1,0日であった.診断にはCTの冠状,矢状断が有用で,経過観察によりヘルニアが進行することがあるので速やかに縫合閉鎖するのがよい.