日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
肺悪性腫瘍を疑い外科切除を行った孤立性肺非結核性抗酸菌症の検討
笠井 由隆伊藤 公一桝屋 大輝高田 尚哉田中 悠也久米 佐知枝井上 明香門田 和也岡田 信彦松岡 弘典吉松 昭和鈴木 雄二郎
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2018 年 32 巻 1 号 p. 2-6

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抄録

2010年1月から2016年12月までに当院で術前に肺悪性腫瘍を疑って外科切除を行い,術後に非結核性抗酸菌症と診断された12例について検討した.男性10例,女性2例,平均年齢は66歳であった.菌種はM. aviumが8例,M. intracellulareが3例,M. kansasiiが1例であった.腫瘤径の平均は30 mm(11~74 mm)であった.12例中7例はFDG-PETを行っており,SUVmaxの平均は6.98(3.18~13.40)であった.術式は肺葉切除4例,区域切除1例,部分切除7例であった.術後化学療法は5例に行われていた.術後再発は認めなかった.術前に孤立性非結核性抗酸菌症と悪性腫瘍を鑑別するのはFDG-PETを用いても困難である.また孤立性の場合,気管支鏡による菌検出率も低い.進行症例では術後の再排菌率も高いため,積極的に診断と治療を兼ねて手術を行うべきである.

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