日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
両側多発発生と考えられた胸腔内結石症の1例
鈴木 仁之庄村 心真栄城 亮井上 健太郎島本 亮近藤 智昭
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2018 年 32 巻 1 号 p. 29-33

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抄録

胸腔内結石症は稀な疾患で,さらに両側多発例はほとんど報告例がない.今回我々は肺癌手術時に複数の胸腔内結石が発見され,両側多発発生が疑われた症例を経験したので報告する.症例は73歳,男性.右肺癌手術時に右胸腔内に白色の浮遊結節を多数認めた.術前CTでは両側胸腔内に多数の石灰化結節を認めていたために,両側多発胸腔内結節と診断した.結石は特に核を持たず,硝子化した膠原線維が同心円状に増生した組織で形成されており,肺内およびリンパ節内にも同様の結節を多数認め,過去の報告の多くとは異なる形態を示していた.胸腔内結石の成因は諸説あるが,成因が異なる複数のタイプがあると思われた.

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