2018 年 32 巻 1 号 p. 39-45
58歳,男性.健診の胸部Xpにて左下肺野に結節影を指摘された.胸部CTにて左S8に20 mm大の充実性陰影を認めた.気管支鏡ではB8b入口部に表面平滑な腫瘤を視認でき,同部からの生検では唾液腺型の腫瘍と診断された.手術は胸腔鏡下左下葉切除術を行った.切除標本では,腫瘍径は27×18 mm,境界明瞭,白色充実性で気管支壁に浸潤し,一部は内腔へ突出していた.組織学的には,淡明な胞体をもつ異型細胞が,小管状構造,胞巣状構造を密に形成し,周囲圧排性に増殖していた.管腔内腔には好酸性の腺上皮も見られ,筋上皮・腺上皮の2相性の増殖が確認された.免疫染色では,多くの腺上皮でサイトケラチンAE1/AE3が陽性,多くの筋上皮でp63陽性,一部の筋上皮でSMAおよびS-100陽性であった.以上から上皮筋上皮癌と診断された.術後経過は良好で,術後第14病日に退院した.術後1年が経過したが再発は認めていない.