日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
左上葉切除術後に生じた上肺静脈断端内血栓症2例の抗凝固療法の比較
武村 真理子渡邉 伸之助細野 由希子三井 匡史
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2018 年 32 巻 2 号 p. 203-210

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抄録

左上葉切除術後に生じた上肺静脈断端内血栓に対して異なる抗凝固療法を用いた2例を報告する.いずれも左上葉肺癌に対して胸腔鏡補助下左上葉切除術を行い,術後1ヵ月よりTegafur/Uracil(UFT)による術後補助化学療法を開始した.症例1では術後4ヵ月,症例2では術後3ヵ月の造影CT検査で左上肺静脈断端内に血栓を指摘され,それぞれWarfarin(Wf)とApixabanによる抗凝固療法を行った.2例とも治療開始から6-8週間後の造影CT検査では血栓が完全に消失し,動脈塞栓症や出血性合併症なく経過した.WfはUFTとの併用で抗凝固作用が増強することが知られており,本症例でも容量調整に難渋した.一方,ApixabanはUFT併用下でも安全に使用することができ,Wfと同等の効果であったことから,UFT内服中の肺静脈断端内血栓における治療オプションとして期待できる.

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