2018 年 32 巻 2 号 p. 198-202
症例は67歳男性.左膿胸にて他院で入院加療するも改善なく,当院へ転院.精査にて胃悪性リンパ腫の横隔膜浸潤,左胸腔穿破と診断し手術を施行した.
手術は左斜開胸開腹法にてアプローチ.胸腔内には膿苔が多量に付着し,臓側胸膜は著明に肥厚していた.腫瘍は胃穹窿部に存在し,横隔膜,膵尾部,脾に浸潤していた.胃全摘,横隔膜・膵尾部・脾合併切除術及び,剥皮術,有茎広背筋弁による横隔膜再建術を施行した.膵液瘻を合併したが術後60日目に退院となった.左斜開胸開腹法は胸腹部操作を良好な視野で実施可能で,有茎広背筋弁による横隔膜再建も同一の視野で実施できる有用なアプローチであった.