日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肉眼的肺動脈腫瘍塞栓の2切除例
小林 良司橋本 崇史内匠 陽平小副川 敦宮脇 美千代杉尾 賢二
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2018 年 32 巻 4 号 p. 544-549

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抄録

症例1は28歳女性.約4年前に後腹膜平滑筋肉腫に対し腫瘍摘出術を施行された.その際,腫瘍の下大静脈浸潤を認めたため合併切除が行われた.以後肺転移病変に対し切除および経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)が施行された.今回右下葉肺動脈内に異常陰影を指摘され右下葉切除術が行われ,右A9+10内に肉眼的腫瘍塞栓を認めた.症例2は74歳男性.3年前から肝細胞癌に対し,肝動脈化学塞栓療法(TACE),RFAが施行されていた.5ヵ月前にS6肝転移に対し肝拡大後区域切除術が施行され,右肝静脈内に腫瘍浸潤を認めた.術後3ヵ月目に右下葉肺動脈の血栓塞栓症が疑われ抗凝固療法が開始されたが,次第に増大したため,右下葉切除が行われた.右A9+10内に肉眼的腫瘍塞栓と末梢の肺梗塞病変を認めた.肺動脈の肉眼的腫瘍塞栓は大静脈系からの腫瘍の直接浸潤が発生に関わっていると考えられる.画像上は肺動脈血栓塞栓症との鑑別が重要である.

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