2018 年 32 巻 5 号 p. 629-634
症例は86歳男性.悪性リンパ腫再発にて治療後,右上葉のpart-solid noduleに対し胸腔鏡下肺部分切除を施行.8 mm大の腺癌であり,pStage IAで内科にて経過観察となった.術後2年して肺切除断端部近傍に腫瘤影を指摘され,フォローCTで増大傾向を認めた.腫瘤は5 cm大に増大し,下葉にも結節を認めた.局所再発が疑われたがSCCやCYFRAなどの腫瘍マーカーが上昇しており,原発性肺癌の可能性も考えられたため手術の方針とした.右上葉切除,下葉部分切除を行ったところ断端部腫瘤は扁平上皮癌,下葉腫瘤は小細胞癌であり,異時性三重肺癌の診断となった.三重肺癌はこれまでも報告されているが組織型が異なり,更に悪性リンパ腫治療後の二次癌による三重肺癌が示唆される様な症例は非常に稀である.