日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
高IgE症候群による縦隔膿瘍が心囊内へ波及した1例
木越 宏紀前原 孝光山本 健嗣三ツ堀 隼弘益田 宗孝
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 32 巻 6 号 p. 758-763

詳細
抄録

高IgE症候群による縦隔膿瘍が心囊内へ波及した症例を経験した.症例は23歳,女性.小児期に高IgE症候群と診断された.他院で縦隔膿瘍に対して抗菌薬治療をされていたが自己の判断で通院を中断していたところ,突然の胸痛を自覚して当院へ救急搬送となった.胸部造影CTで縦隔膿瘍,心囊液貯留を認め入院となった.心囊ドレナージを行い,心囊液からMethicillin-sensitive Staphylococcus aureus(MSSA)を検出した.心囊ドレナージと抗菌薬加療により炎症所見は改善したが縦隔膿瘍は残存したため右胸腔アプローチで胸腔鏡下縦隔膿瘍掻爬,ドレナージ術を行った.術中に採取した膿瘍液の培養検査からは心囊液同様のMSSAを検出した.抗菌薬治療を継続して術後9日目に自宅退院となった.

高IgE症候群による縦隔膿瘍の感染コントロールのためには外科的ドレナージを考慮する必要がある.

著者関連情報
© 2018 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top