【目的】ロボット支援手術の初期経験から完全胸腔鏡下手術との違いを考察し,ロボット支援手術の問題点を報告すること.
【対象と方法】2018年1月~9月まで当科のロボット支援手術で発生した問題点を見直し,周知されている問題点と予期しなかった問題点に分けて検討した.
【結果】対象は6例.肺癌,縦隔腫瘍各3例に施行.従来の完全胸腔鏡下手術では経験しない問題が6つ発生し,このうち周知の問題が5つ,予期しなかった問題は1つであった.周知の問題4つを含む5つの問題が,現状のダヴィンチでは予防困難,もしくは経験以外に克服法を明示されていなかった.
【結語】ロボット支援手術は従来手術とは多くの違いとピットフォールが存在する.安全な導入にはダヴィンチの特性と適応を把握し,多職種チームによるシミュレーションを繰り返すこと,そして施設間の情報共有が必要と考えられた.