日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺癌術後,リンパ液貯留により心タンポナーデをきたした1例
洪 雄貴田中 宏和山﨑 順久渡辺 裕介中出 雅治
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2019 年 33 巻 2 号 p. 183-186

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抄録

症例は55歳,男性.右肺上葉肺腺癌の診断で胸腔鏡下右肺上葉切除術及びリンパ節郭清(2a-1)を施行された.術後7日目に経過良好で退院となったが,術後10日目に心窩部痛,労作時呼吸苦を主訴に近医に救急搬送され心タンポナーデと診断された.緊急で心囊ドレナージを施行されたが,その後も排液が続いており精査加療目的に術後17日目に当院へ再入院となった.精査の結果リンパ液貯留による心囊液貯留と診断し,術後35日目にドレナージ目的に胸腔鏡下心囊切開術を施行した.再手術後は心囊液が貯留することはなく,再手術後13日目に独歩退院となった.肺癌術後の心タンポナーデは非常にまれであるが,重要な合併症の1つである.リンパ液が貯留することは非常にまれであり,その治療法として胸腔鏡下の心囊切開術は有用であると考えられた.

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