2019 年 33 巻 2 号 p. 200-205
症例は45歳の男性.突然の左背部痛を主訴に救急搬送された.既往に神経線維腫症1型(NF1)があった.造影CTで左大量胸水を認め胸腔ドレナージを施行,血性胸水を認め特発性左血胸と診断した.CTで左第11肋間動脈の蛇行・拡張を認めたが出血部位を特定できる明らかな所見は認めず,出血源検索および血腫除去を目的に審査胸腔鏡手術を施行した.左第11肋横関節近傍の壁側胸膜下に少量の出血を伴う拍動性の膨隆を認め,シート状組織接着剤を貼付,さらにフィブリン糊を噴霧したところ止血が得られた.術後8日目に肋間動脈造影を施行,第11肋間動脈瘤を認めたため本例は同動脈瘤の破裂による血胸であったと診断,塞栓術を行った.
NF1では肋間動脈瘤破裂による血胸例の報告も散見されるため診断に際しては念頭に置く必要がある.本例のごとく胸腔鏡下に圧迫等の止血術を行い,二期的に塞栓術を行うことも治療法の選択肢となり得ると考えられた.