内科治療に抵抗性の肺非結核性抗酸菌症(NTM)においては病状コントロール目的で外科治療が必要となる場合がある.手術に際して主病巣は一側肺に限局していることが望ましい.しかし肺NTM症例の中には両側に気道破壊性病変を有する症例も存在する.2010年1月~2017年12月に当院で肺MAC症に対して手術を行った184例中,二期的に両側肺切除術を行った症例7例について検討を加えた.全例が女性で,結節気管支拡張型が5例,結節・気管支拡張型と線維空洞型とを有する混合型が2例であった.術前の化学療法期間は44.7±70.4ヵ月(中央値15.0ヵ月)であり,5例は右→左,2例は左→右の順に二期的に両側手術を施行した.初回手術と2回目との手術間隔は8.0±4.1ヵ月であった.2回目術後からの化学療法継続期間は28.6±21.7ヵ月であり,38.7±27.9ヵ月の観察期間で再燃・再発を認めた症例はなかった.