2019 年 33 巻 6 号 p. 608-612
症例は60代の男性で,検診で胸部異常陰影を指摘され精査目的に当院を受診した.胸部CTで上縦隔の気管右側に約6.5 cmの腫瘤を認めた.腫瘤の内部はやや不均一で粗大な石灰化を伴い,辺縁は平滑で境界は明瞭であった.良性の縦隔腫瘍の診断にて胸腔鏡補助下腫瘍摘出術を施行,右頸部襟状切開を追加して腫瘍を摘出した.腫瘍と甲状腺との連続性は認められず,病理診断は腺腫様甲状腺腫であった.縦隔内甲状腺腫は比較的稀な疾患であり,なかでも甲状腺と連続性のない迷入性甲状腺腫は稀である.腫瘍の位置や大きさにより手術手技を選択するが,胸腔鏡補助下のアプローチが有用であったので報告する.