2019 年 33 巻 7 号 p. 693-700
当科では2018年11月にUniportal VATS(U-VATS)を導入し,2019年4月までの6ヵ月間に46例の解剖学的肺切除術を施行した.うち原発性肺癌41例と,U-VATS導入前の6ヵ月間にMultiport VATS(M-VATS)で解剖学的肺切除術を施行した原発性肺癌33例の周術期成績を比較検討した.両群の患者背景に差を認めなかった.U-VATS群で手術時間が短く(126 vs. 152分 P<0.01),術後疼痛が軽減した(Numerical Rating Scale 0 vs. 2 P=0.02).術中出血量,ドレーン留置期間,合併症,郭清縦隔リンパ節数には差を認めなかった.M-VATSの経験をもとに手術手技に工夫を加えればU-VATSの導入は可能で,導入により手術侵襲を軽減できるものと考えられた.