日本外科系連合学会誌
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症例報告
食餌が誘因と考えられた非閉塞性腸間膜虚血症(NOMI)の1例
今田 慎也安井 昌義池永 雅一宮崎 道彦三嶋 秀行平尾 素宏藤谷 和正中森 正二辻仲 利政
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2010 年 35 巻 2 号 p. 225-228

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抄録
 症例は76歳の男性.3日前に干し柿を摂取した.2日前より嘔気・嘔吐あり,前日より腹痛が出現し,さらに下血も認めたため当院に救急搬送された.来院時,ショック状態であり下腹部全体に筋性防御を認めた.腹部CT検査では小腸の壁肥厚を認め,同部位より口側腸管の拡張と液体貯留を認めた.ショックの原因として虚血性腸管壊死を疑い,緊急手術を施行した.Treitz靱帯より30cm肛門側の部位から約100cmにわたって小腸の色調不良を認め,その腸管を切除し再建した.切除標本内に,複数の干し柿がみられた.病理組織では,腸管の虚血性,壊死性および出血性変化が分節状で非連続的にみられ,血管の明らかな閉塞像もみられず,非閉塞性腸間膜虚血症の診断であった.術後,積極的治療にも関わらず循環不全から脱却できず死亡した.非閉塞性腸間膜虚血症の原因・病態について文献的考察を加えて報告する.
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© 2010 日本外科系連合学会
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