日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
腎摘13年後に肺転移および対側の孤立性の縦隔リンパ節転移をきたした腎癌の1切除例
船﨑 愛可岩井 俊関村 敦本野 望薄田 勝男浦本 秀隆
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2020 年 34 巻 1 号 p. 40-45

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抄録

症例は50代男性.13年前に慢性腎不全に対し左腎摘出術・献腎移植術を施行し,摘出腎より腎細胞癌と診断された.経過観察中,CTで左肺上区に結節影と前縦隔に緩徐に増大する腫瘤を認め,当科に紹介された.右側アプローチで胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術を施行したところ,淡明細胞癌を認め,腎細胞癌の縦隔リンパ節転移と診断した.左上肺結節影に対しても二期的に胸腔鏡下左上区域切除術を施行し,腎細胞癌の肺転移と診断した.腎細胞癌は血行性転移が最多とされるが,肺転移巣と対側の孤立性の縦隔リンパ節転移の切除に関する予後は不明である.転移経路が異なる孤立性病変に対して,完全切除することで予後の改善が期待できる可能性がある.

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