2020 年 34 巻 5 号 p. 353-357
症例は47歳女性,関節リウマチにて前医加療中に呼吸困難を認め,胸部レントゲン写真にて右胸水貯留を指摘されたため当院呼吸器内科を紹介受診した.リウマチ性胸膜炎と診断され,プレドニゾロン内服開始するも胸水の減少得られず,胸腔ドレナージでも肺の拡張が得られないため,当科にて胸腔鏡下肺剥皮術を行った.肺をほぼ損傷することなく,肺の拡張および症状の改善が得られ,合併症なく退院となった.術後1年の時点でも症状および胸水再貯留なく良好な肺拡張が維持され呼吸機能は著明な改善を認めていた.亜急性~慢性期の胸水貯留例では,肺の拡張を得るためには肺剥皮術が必要となるが,関節リウマチに伴う胸膜炎に対しても胸腔鏡下剝皮術にて良好な肺拡張を得ることが可能である.手術の工夫と文献的考察を加え報告する.