日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
タコシール組織接着用シートによる術中アナフィラキシーショックの1例
石田 裕人岡見 次郎須﨑 剛行楠 貴志徳永 俊照東山 聖彦
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2021 年 35 巻 2 号 p. 172-175

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抄録

症例は61歳男性,右中葉肺癌に対して右中葉切除術を行った.術中にタコシールを2回使用し,1回目は上肺静脈に約1 cm2使用し,2回目は1時間後に肺瘻修復と先程の上肺静脈の追加補強のために約22 cm2使用した.その約10分後に,収縮期血圧が40 mmHg台まで急激に低下し,昇圧剤投与にも反応乏しく,血圧低値が続いた.術野に明らかな出血はなく,患者の顔面や頸部,上腕に紅潮・膨隆疹を認めたため,アナフィラキシーショックと判断した.タコシールが原因である可能性を疑い,全てのタコシールを除去し,生理食塩水で貼付部を洗浄した.約10分後に血圧は改善し,昇圧剤への反応は良好であった.後日,リンパ球刺激試験(DLST)を行い,2回目で陽性判定となったため,タコシールによるアナフィラキシーショックと診断した.タコシールによるアナフィラキシーショックは非常に稀であり,注意喚起も含めて報告する.

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