2021 年 35 巻 5 号 p. 576-583
症例は70歳男性.上行結腸癌術後経過中CTにて右肺下葉,肝右葉の結節と肺門縦隔リンパ節腫大が認められた.肺結節の生検を施行し,原発性肺癌の診断となった.肝腫瘍は術前大腸癌肝転移と診断した.肺癌に対し,右下葉切除術+ND2a-2を施行した.病理所見では肺腫瘍の90%を占める主腫瘍部と10%弱の高円柱細胞部を認めた.いずれもadenocarcinomaであったが,前者はTTF-1(+),CK7(+),CK20(-),CDX2(-),後者はTTF-1(-),CK7(-),CK20(+),CDX2(+)であった.主腫瘍部は原発性肺癌pT2aN2M0,pStage IIIA,高円柱細胞部は肺癌原発巣内への大腸癌転移の診断となった.肝腫瘍は切除され大腸癌肝転移の診断であった.肺癌補助化学療法を施行したが,22ヵ月で肺癌により死亡した.