2022 年 36 巻 1 号 p. 96-101
肺癌の胆囊転移は,剖検例を除くと,現在までに7例の報告があるにすぎない稀な病態である.今回,肺癌術後胆囊転移の手術例2例を経験したので報告する.
症例1:80歳男性.70歳時に右上葉肺扁平上皮癌に対し,右上葉切除およびリンパ節郭清を施行.T2aN0M0 StageIBの診断.術後6年目のFDG/PET-CTで胆囊に集積を認め,腹腔鏡下胆囊摘出術を施行.病理組織にて低分化型扁平上皮癌で,肺癌胆囊転移と診断された.
症例2:78歳女性.左上葉肺腺癌に対し,左上葉切除およびリンパ節郭清を施行.pT2aN0M0 StageIBの診断.術後6ヵ月目に出血性胆囊炎に対し,腹腔鏡下胆囊摘出術を施行.病理組織にて肺癌病巣と同じくALK陽性腺癌であり,肺癌胆囊転移の診断となった.
肺癌術後フォローアップ中に胆囊炎症状を認めた場合や画像上,胆囊に病変を認めた際は,胆囊転移を鑑別する必要がある.