背景:胸骨悪性腫瘍に対して胸骨切除を行う際,腫瘍からの距離をとるため鎖骨や肋骨を合併切除することがあり,欠損範囲に応じて人工材料や筋皮弁による再建が選択される.
目的と方法:2009年1月から2019年12月に当院で行われた胸骨悪性腫瘍切除例を調査し,再建法の選択・適応について検討した.
結果:症例は7例で,転移性骨腫瘍5例,軟骨肉腫1例,未分化多形肉腫1例であった.全例で胸骨柄切除ないし胸骨体部分切除に加え複数の肋骨を切除しており,鎖骨近位側も切除した症例が4例あった.欠損部分の再建は5例で施行しており,人工材料による再建例は1例のみで,皮膚欠損を生じる,もしくは,胸骨体部を切除した場合には再建を行っていた.
結論:胸骨切除の際に必ずしも硬性再建の必要はなく,軟部組織による再建のみでも良好な経過が得られていた.