日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
再手術を要した降下性壊死性縦隔炎の一例:ドレナージ不良の原因と対策
沖 智成望月 孝裕
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2022 年 36 巻 4 号 p. 389-395

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抄録

降下性壊死性縦隔炎は口腔・咽頭感染が縦隔へ下降して発症する急性縦隔炎である.症例は61歳の男性で,左扁桃周囲膿瘍,喉頭浮腫に対し耳鼻咽喉科で緊急左咽頭切開ドレナージ,気管切開が施行された.その後も炎症は改善せず,入院後4日目に降下性壊死性縦隔炎を発症して当科で緊急胸腔鏡下右縦隔ドレナージを施行した.しかし,縦隔ドレーンの変位と肺の癒着によるドレナージ不良を起こし,術後6日目に再度縦隔ドレナージを施行した.術後は縦隔胸腔洗浄を行い,55日目に独歩退院となった.降下性壊死性縦隔炎は稀な疾患であるが致死率が高く,救命には適切なドレナージを必要とする.奇静脈弓を利用した縦隔ドレーンの固定により,有効な縦隔ドレナージが可能となったため報告する.

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