2022 年 36 巻 4 号 p. 430-434
症例は46歳男性.2日前からの発熱および血痰を主訴に当院救急外来を受診した.胸部CTで右肺中葉に肺膿瘍および肺炎像を認め緊急入院した.第2病日に喀血を認め,胸部造影CTで径10 mmに拡張した血管影を認め,肺膿瘍に伴う感染性仮性肺動脈瘤と診断した.仮性肺動脈瘤に対してtranscatheter arterial embolization(TAE)を施行したが,不成功であった.喀血が持続するため,気管挿管下で気管支鏡検査を施行した.止血のため中葉気管支にEndobronchial Watanabe Spigot(EWS)を充填し止血を図った.第5病日に右肺中葉切除術を施行し肺膿瘍および仮性肺動脈瘤を切除した.術後,肺血栓塞栓症を発症したが第37病日に自宅退院した.今回,我々は肺膿瘍に合併した感染性仮性肺動脈瘤に対してTAE,EWSおよび肺葉切除術を施行し救命し得た1例を経験した.