一般的に原発性自然気胸(PSP)は高度虚脱症例を除けば重篤な経過をたどることが少ない.初発時には低侵襲な胸腔ドレナージ等の保存的治療が第一選択だが,その再発率は高い.そのため保存的治療の後に再発した場合には手術を施行することが多い.しかし初発時に高度虚脱を呈した症例では,胸腔ドレナージで一旦治癒しても比較的短期間で再び高度虚脱を来してしまうことをしばしば経験する.そのため筆者らは初発時の肺虚脱度を軽度・中等度虚脱群と高度虚脱群の2群にわけ,両群の再発率および再発時の肺虚脱度を比較検討した.両群の再発率はそれぞれ45.3%,51.5%であり有意差はなかったが,再発時の高度虚脱の発生率はそれぞれ9.8%,40.0%で有意差を認めた.初発時に高度虚脱を呈した症例は再び高度虚脱となることが示唆され,高度虚脱を呈したPSPでは初発時でも積極的に手術療法を考慮することが望ましい.