日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
化膿性脊椎炎に併発した縦隔膿瘍の1例
滝 雄史山本 真一坪地 宏嘉遠藤 俊輔
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2023 年 37 巻 5 号 p. 420-425

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抄録

症例は80歳代男性.頸部痛と発熱を主訴に前医を受診し,CTで第1-2胸椎の両側に液体貯留が認められた.また,MRIのShort TI inversion recovery(STIR)画像とT2強調画像で,第1-2及び第2-3胸椎の間の椎間板の高信号が認められたほか,STIR画像で第一胸椎に高信号を認めた.血液培養でMethicillin susceptible Staphylococcus aureus(MSSA)が検出された.菌血症,胸椎化膿性脊椎炎とそれに起因する上縦隔膿瘍と診断した.抗菌薬投与で改善なく,発症後14日目に縦隔膿瘍に対し両側胸腔鏡下ドレナージ術を施行した.術後も抗菌薬投与を継続し炎症反応の改善がみられ,術後55日目に合併症無く転院した.

化膿性脊椎炎は四肢麻痺など重篤な合併症を引き起こすことがあるため,傍脊椎の縦隔膿瘍が認められた場合には,その背景に化膿性脊椎炎が存在する可能性に留意する必要がある.CTでは化膿性脊椎炎の所見が明らかではないことがあるため,傍脊柱に膿瘍形成がある場合にはMRIによる化膿性脊椎炎の確認が望ましい.

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