日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
気胸の手術を契機に癌性胸膜炎の診断に至った1例
徳永 拓也今村 信宏上田 和弘梅田 翔太梅原 正佐藤 雅美
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キーワード: 気胸, 肺癌, 癌性胸膜炎
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2023 年 37 巻 6 号 p. 569-574

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抄録

稀に自然気胸を契機に原発性肺癌を指摘されることがある.気胸の手術中に原発性肺癌の可能性が指摘されるのは更に稀である.今回,気胸の手術所見から生検を行い肺癌の診断を得た症例を経験したので報告する.症例は75歳,男性.呼吸困難感を主訴に当院を受診した.7日間の胸腔ドレナージで気胸の改善が得られなかったため,手術を行った.胸腔内には炎症によると思われる胸膜肥厚と癒着を認めたが,肺癌を疑う結節性病変を認めなかった.囊胞性病変のない肺表面からのリークを複数箇所に認めた.悪性疾患の可能性を考慮し壁側胸膜と肺を生検し,原発性肺腺癌による癌性胸膜炎と診断した.術前画像検査や術中肉眼所見で異常がない場合でも,不自然な難治性気胸に対して組織生検を考慮することが重要である.

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