日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
直腸GIST単発肺転移の一切除例
小林 政雄石田 大輔坂巻 靖
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キーワード: GIST, 単発肺転移, イマチニブ
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2023 年 37 巻 7 号 p. 594-599

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抄録

症例は79歳女性.直腸Gastrointestinal stromal tumor(GIST)に対し原発巣切除後,補助療法としてイマチニブが投与されたが,Grade2有害事象のため術後1年6ヵ月で中止された.術後4年6ヵ月のCTで右中葉に1.4 mmの小結節が出現し,術後7年時点で6.4 mmに増大したため,悪性腫瘍を疑われ当科紹介となった.右肺中葉部分切除を施行し病理検査の結果,GISTの肺転移と診断された.術後はイマチニブ投与なしで経過観察されたが,4ヵ月で右第11肋骨,左腸骨に転移を認めたため,同月からイマチニブ減量投与が開始され,肺転移切除後12ヵ月の現在,イマチニブ投与継続し新規の転移巣出現なく骨転移もstable disease(SD)で経過している.直腸GISTの単発肺転移に対する切除例の報告は少なく,切除で確定診断を得た場合,他病変の早期出現を想定した対応が必要である.

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