2024 年 38 巻 6 号 p. 557-560
今回原発性肺癌の術後局所再発と術前診断され,病理検査で未分化多形肉腫と判明した1例を経験したので報告する.
症例は80歳の男性.9年前に肺腺癌に対し胸腔鏡下右肺上葉切除を行った.pT3N1M0 stageIIIAであり術後補助療法を施行し,再発なく経過していた.他疾患にて撮像したCTで右中肺野胸膜側に結節影を認めた.前回手術創の近傍であることより局所再発を疑った.術前検査で判明した心房内血栓の治療を行ったのちに手術を行った.手術待機の2ヵ月で腫瘤は増大したが遠隔転移は出現せず,胸壁切除と癒着した右肺下葉の一部を合併切除した.術後の病理診断では未分化多形肉腫との診断に至った.年齢と全身合併症より術後補助療法は行わなかった.術後6ヵ月で多発骨転移が出現し,緩和的放射線照射後ホスピスへ転院となった.