2025 年 39 巻 1 号 p. 34-39
症例は55歳,男性.健診の胸部レントゲン検査で胸部異常陰影を指摘され,胸部CTで縦隔上部から前縦隔に多発結節を認めた.鑑別すべき病態として同時多発胸腺上皮性腫瘍やリンパ節転移を伴う胸腺上皮性腫瘍,悪性リンパ腫を疑い,CTガイド下生検を施行した.しかしながら,非常に硬い組織であり針生検での組織採取が困難であったため診断および治療目的に胸腺全摘術および周囲の多発結節の切除を行った.術後の病理組織検査でコレステリン肉芽腫と診断された.縦隔に多発するコレステリン肉芽腫は非常に稀である.これまでに術前生検が施行されている報告は無い.画像上は石灰化を伴わない軟部陰影を呈し充実性腫瘍と考えられるにも関わらずCTガイド下生検では組織を採取できないほどの非常に硬い組織であるという特徴が得られたため報告する.