2025 年 39 巻 6 号 p. 551-556
【はじめに】血管肉腫は高率に肺転移を来たす予後不良な疾患である.
【症例】57歳,男性.2週間前より呼吸苦と胸背部痛を自覚,気胸と診断され当院紹介となった.CTで肺虚脱と大量胸水貯留,両肺に小囊胞と小結節,心囊水貯留,頚部や縦隔リンパ節腫大,第9胸椎と右鎖骨の病的骨折を認めた.ドレナージを施行し血性胸水であった.PETで左頚部リンパ節に集積を認め,生検を行ったが診断は得られなかった.排液は持続し,肺囊胞の増加と再虚脱のため,肺瘻閉鎖術を行った.肺表面には多数の囊胞が存在し,複数箇所から気瘻があり,各々処理し気瘻の停止を確認した.術後,癒着術を複数回行うも排液は減少せず,肺虚脱と肺囊胞の増加を認めた.対側胸水や肝転移も出現し,第33病日に永眠された.剖検で血管肉腫と診断した.
【考察】確定診断が困難で,難治性血気胸から呼吸不全へと急激な転帰をたどった症例であった.画像変化を提示し報告する.