2025 年 39 巻 6 号 p. 545-550
症例は50歳代女性.検診の胸部X線で異常を指摘された.CTで左肺舌区に巨大肺囊胞を認めたが,症状なく経過観察されていた.胸痛・呼吸苦が出現したため前医を受診した.画像検査で巨大肺囊胞の増大,液体貯留,縦隔偏位が認められたため当科に緊急入院した.後方視的にはCTで舌区気管支に囊胞状構造を認め,巨大肺囊胞拡大への関与を疑った.
局所麻酔下に巨大肺囊胞内にドレナージチューブを留置後,全身麻酔を行い手術を開始した.肺囊胞壁を切り開くと舌区気管支に囊胞あり.巨大肺囊胞内腔では気管支囊胞からのエアリークのみであった.また,上区は拡張良好だった.舌区の肺実質は低形成で巨大肺囊胞が大部分を占めているため,巨大肺囊胞壁を可及的に切除し,舌区気管支を閉鎖することにした.気管支囊胞壁が菲薄化していたため,遊離脂肪と切除した肺囊胞壁で補強し舌区気管支を縫合閉鎖した.巨大肺囊胞壁は可及的に切除し手術を終了した.術後経過は良好で,術後7日目に自宅退院した.