日本呼吸器外科学会雑誌 呼吸器外科
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当教室における縦隔腫瘍症例の検討
悪性例の治療と予後を中心として
堀尾 裕俊中村 広繁石黒 清介広田 裕福田 幹久荒木 威原 宏森 透
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キーワード: 縦隔腫瘍, 疫学, 治療, 予後
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1988 年 2 巻 3 号 p. 154-163

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抄録
縦隔外胸腺腫2例を含む縦隔腫瘍62例について, 治療効果と予後などの観点から検討を加えた.62例のうち悪性例は28例 (45.2%) あり, 性差はなかったが, 20歳代と60歳以上に2つのピークを見, 近年次第に増加する傾向があった.組織学的に分類すると, 胸腺腫が22例と最も多く, 次いで奇形腫, 神経性腫瘍, リンパ腫の順であった。各組織型における悪性頻度は, リンパ腫では全例, 胸腺腫では72.2%と高頻度であったが, 一方奇形腫, 神経性腫瘍では低い傾向であった, 症状については, 無症状例の88%が良性であり, 12%のみが悪性例であり, 悪性例では何らかの症状を訴えたものが殆どで, その程度も比較的高度なものが多く, 症状の有無が良・悪性の判定材料となる可能性が示された.治療は腫瘍の完全摘出を基本とし, たとえ浸潤例でも, 隣接臓器合併切除を行い, 腫瘍の完全摘出と術後補助療法の徹底に心掛ければ予後の向上が十分に期待できるものと推測された.
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