日本呼吸器外科学会雑誌 呼吸器外科
Online ISSN : 1884-1724
Print ISSN : 0917-4141
ISSN-L : 0917-4141
巨大肺嚢胞症の外科的治療成績
八木 一之小西 孝明石田 久雄塩田 哲広塙 健小鯖 覚畠中 陸郎松原 義人船津 武志池田 貞雄
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 5 巻 1 号 p. 36-44

詳細
抄録

巨大肺嚢胞症の86嚢胞切除例に対し, 肺機能検査, 133Xeガスによる肺換気シンチグラムを中心に検討を加えた.術前の合併症としては, 気胸・呼吸不全・嚢胞内感染が多くみられ, 特に高齢者で合併症を伴ったものでは5例の術後死亡を認めた.巨大肺嚢胞症では, このような合併症の起こらない早期に外科治療を行い, 合併症の予防・肺機能の温存を計る必要がある.肺換気シンチグラムによる巨大肺嚢胞症の43例を非交通性嚢胞15例と交通性嚢胞28例とに分類すると, 非交通性嚢胞では術前に自覚症状があり, 肺機能低下例が多いため, 術後に有意の改善が得られた.術後に改善した肺機能は閉塞性障害の強い症例では次第に低下傾向があるものの, 長期間にわたり維持され, 外科治療は有意義であった.中・下葉に局在する巨大肺嚢胞は, 術前に肺機能の低下が著しく, 術後に有意の改善が得られた.

著者関連情報
© 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top