日本呼吸器外科学会雑誌
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原発性肺癌切除後10年以上長期生存例の予後因子に関する検討
飯笹 俊彦山口 豊馬場 雅行柴 光年
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1996 年 10 巻 1 号 p. 31-38

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抄録
1965年から1984年までに切除した原発性肺癌症例のうち, 10年以上経過し, 病理組織学的に確定診断の得られた640例につき, 10年以上生存と関連する諸因子について検討した.切除例のうち10年以上生存例は134例 (20.9%), 10年生存率22.0%であった.組織型では, 最も多数を占める腺癌と扁平上皮癌の10年以上生存例を占める割合は21.0%, 19.2%で有意差を認めなかった.また前期 (1965~1974年) ならびに後期 (1975~1984年) における10年以上生存例の占める割合は, それぞれ16.5%, 24.2%と, 有意な増加を認めた.病期別10年以上生存例の占める割合は, IIIA期とIIIB期を除き, 病期の進行とともに悪化した.III期切除例における10年以上生存と関連する有意な因子は明確でないが, 1期症例では65歳未満の症例はそれ以上の症例に比べ, 女性は男性に比べて, また腺癌症例は扁平上皮癌症例に対し, 有意に長期生存が期待できるものと考えられた.
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