抄録
症例は人間ドックで胸部要精査とされた40歳男性.胸部X線写真, CTで右胸腔に少量の胸水貯留を認めたが, 胸水の細胞診および細菌培養ともに陰性であった.胸水中ADAの上昇と血沈充進から結核性胸膜炎を疑い, 抗結核薬の投与を開始した.一時期胸水は減少したものの半年後から再び増え始め, 初診から1年後に胸部X線写真上腫瘤陰影が出現した.経皮針生検で悪性細胞が得られ, 右胸膜肺全摘術を施行した.摘出標本の肉眼所見からはびまん性胸膜中皮腫が疑われたが, 組織学的に腺癌と診断し, いわゆるpseudomesotheliomatous carcinomaと考えられた.