抄録
我々は今日まで肺癌症例を対象に中枢気道病変の情報を得る目的でヘリカルCTによる3次元表示 (3DCT) を実施してきた.
3DCTは, 中枢気道病変を持つすべての症例に適応があると考えているが, 気道閉塞のために末梢気道の情報が得にくい症例, 術前に正確な気道の情報が必要な症例に特に有用である.
今回, 我々の経験した3症例とも中枢気道病変を有しておりヘルカリCT実施により腫瘍の進展範囲, 気道閉塞の程度を正確に把握し得, 結果的に気管気管支形成等の術前のシミュレーションに大変有用であった.
3DCTは, 従来のCTや気管支鏡に比べ侵襲が少なく, 色んな角度から病変を対象とした立体的評価が可能である.この事より3DCTは手術方法, 手術適応の決定に適切な情報を与え, ひいては手技の安全性の向上に役立つと考えられた.