日本呼吸器外科学会雑誌
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肺葉間リンパ節転移を繰り返す原発巣不明癌の1例
仲宗根 朝紀君野 孝二山下 秀樹岸川 正大
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1997 年 11 巻 1 号 p. 85-89

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抄録

症例は51歳男性.主訴は胸部X線上異常陰影.胸部X線, CTで右肺門に径2.5cmの腫瘤影を認めた.確定診断が得られず, 審査開胸を施行した.腫瘍は右中葉気管支と下葉支との間に存在していた.腫瘍の術中迅速組織診では悪性所見は認めなかったが, 術後の診断は, 原発巣不明癌の右肺葉間リンパ節 (#11i) 転移であった.術後1年目に, 同一部位に再発した.腫瘍は化学療法後縮小し, 右下葉切除術兼縦隔リンパ節郭清を加えた.摘出した下葉及びリンパ節には異常所見は認められなかった.再手術後7ヵ月目に, 同一部位に2度目の再発を来たし, CEAの増加も認めた.経気管支針吸引細胞診では低分化腺癌の診断であった.腫瘍は化学療法後縮小し, CEAも正常化した.現在, 全身状態良好で, 放射線療法を施行中である.

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