日本呼吸器外科学会雑誌
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肺切除後のレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系と心房性ナトリウム利尿ペプチドの変動
管野 隆三塩 豊鈴木 弘行藤生 浩一櫛田 正男大石 明雄井上 仁元木 良一
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1997 年 11 巻 5 号 p. 614-619

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抄録
肺切除後急性期における心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) 及びレニンーアンギオテンシン-アルドステロン系とアンギオテンシン1変換酵素 (ACE) 活性の変動について術前値と比較検討した.ANPは, 術後, 有意な分泌促進が認められた.レニン活性 (PRA) およびアンギオテンシン1 (ANGI) は術後有意に増加するがアンギオテンシンII (ANGII) に有意の変動はなく, アルドステロン (ALD) は術直後の一過性増加の後, 減少した.ACE活性は肺血管床の減少により術後有意に減少しており, このことがALD低下の原因と推察された.肺切除後急性期は心房負荷によるANPの分泌促進とPRA上昇という矛盾した内分泌環境下にあり, dry side での輸液管理と心機能補助及び腎血流量の確保のためにカテコールアミンの使用も考慮されるべきと思われた.
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