日本呼吸器外科学会雑誌
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腎摘除術後11年, 大量喀血をきたした腎癌肺転移の1手術例
成瀬 博昭片山 良彦稲田 潔
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キーワード: 転移性肺腫瘍, 腎癌, 喀血
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1997 年 11 巻 7 号 p. 845-849

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抄録

症例は, 59歳男性.1984年9月腎癌にて右腎摘除術を受けた.1994年12月両側肺転移にて開胸肺部分切除術を受け, 以後Inter feron α (IFN α) を投与されていた.1995年4月当院を紹介され, 左葉気管支間リンパ節転移と思われる腫瘤を認めた.IFN α加療を継続し10ヵ月間は腫瘤の増大はなかったが, 1996年3月血疾を自覚し, 腫瘤は増大した.気管支鏡検査前処置中に大量喀血をきたしBAE施行後左肺摘除, 縦隔リンパ節郭清術を施行した.腫瘍は4×2.5×2cm.病理組織学的検索にて腎癌の肺転移と診断され, 葉気管支間リンパ節への転移が増大したと考えられた.術後IFN α再開, UFT内服を開始, 14ヵ月の現在再発転移の兆候はない.腎癌の肺転移は, 小さく多発傾向を示し, 肺機能温存を考慮した小範囲切除を原則とすべきである.しかし, リンパ節転移を認めるものは原発性肺癌に準じた手術をする必要がある.

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