日本呼吸器外科学会雑誌
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薄壁空洞で発見され気胸を合併した肺癌の1例
市村 秀夫遠藤 勝幸小島 正幸
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1999 年 13 巻 2 号 p. 195-200

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抄録

薄壁空洞を有し経過中に気胸を合併した低分化型扁平上皮癌の1例を経験した.症例は71歳の男性, 他疾患経過観察中の胸部X線写真で左肺中肺野に約2cmの円形の薄壁空洞病変を発見され, 2ヵ月後左気胸を併発した.空洞病変の増大と気胸による肺の再膨脹不全のため当科紹介となった.開胸すると, 約1cmの穿孔を伴った約3cmの腫瘍を認めた.胸膜播種は認めなかった.迅速診断で悪性腫瘍の診断を得て, 左肺上葉切除, 左肺下葉剥皮術を施行した.術後経過は順調であった.
臨床所見ならびに病理組織学的検討より本症例の薄壁空洞のメカニズムとしていわゆるchecvalve 機構の関与が, 空洞の破裂・穿孔の原因として臓側胸膜への腫瘍浸潤1高度な脈管侵襲による空洞壁の脆弱化と check-valve機構が示唆された.

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