日本呼吸器外科学会雑誌
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喀血を伴った縦隔型成熟奇形腫の1切除例
梅森 君樹小谷 一敏牧原 重喜
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キーワード: 奇形腫, 縦隔腫瘍, 肺穿孔, 喀血
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2000 年 14 巻 7 号 p. 836-840

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抄録
今回我々は, 予定手術の8日前に喀血を来した縦隔成熟型奇形腫の1例を経験したので報告する.症例は19歳の女性で, 1999年11月学校の検診で異常を指摘され当院を受診した.胸部X線写真, CTにて前縦隔から右肺門にかけて鶏卵大の腫瘤陰影を認め, 縦隔腫瘍と診断した.予定手術の8日前の12月6日に突然コップ1杯の喀血をきたし, 緊急入院となった.気管支鏡検査で右B5気管支からの出血を認めた.12月9日に腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は前縦隔右側にあって右中葉と強固に癒着し, 中葉内に血腫も認め, 中葉の一部を合併切除した.術後24時間後に突然激しいエアーリークが出現したため再開胸を行った.中葉部分切除部からの瘻孔を確認し, 中葉切除を行った.瘻孔はB5気管支と連続していた成熟型奇形腫が肺へ穿孔し, 喀血をきたした場合出血気管支の確実な処理が必要と思われた.
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