抄録
症例は67歳, 男性.主訴は胸部異常陰影.1999年1月風邪に罹患した際, 胸部XP上, 左肺門部に異常影を指摘された.精査を行ったが確定診断が得られず, 肺膿瘍として経過観察された.陰影が増大してきたので再度精査を行ったが, 診断には至らず, 悪性を否定できないため2000年8月21日手術が行われた.腫瘍は左S3に存在し, 縦隔脂肪組織に密に癒着していた.癒着した縦隔脂肪組織を含め, 左上区域切除術を行った.腫瘍は気管支を樹枝状に占拠するように発育しており, 病理診断は肺内成熟型奇形腫であった.