2001 年 15 巻 7 号 p. 741-746
自然気胸に対して胸腔鏡下に施行した, 自動縫合器による嚢胞切除術と内視鏡用結紮糸による結紮術を比較検討した.1994年9月から2000年9月までに自然気胸に対して行われた胸腔鏡手術のうち, 初回手術例197例204側 (切除群: 74例77側, 結紮群: 123例127側) を対象とした.術後再発例は, 切除群で16例 (20.8%), 結紮群で5例 (3.9%) であり, 再発率は結紮群で有意に低い結果となった (p=0.0001).切除群の再発例16例中9例に再手術を行ったが, このうち4例で初回手術時の切除線に新たな嚢胞が認められた.一方, 結紮群では, 再発例5例中1例で再手術を行ったが, 結紮点における嚢胞の新生はなく, 他の4例でも画像的に新たな嚢胞は認められなかった.自然気胸に対する胸腔鏡下肺嚢胞結紮術は, その再発率を低下させうる可能性を有し, 有用な術式であると考えられた.