日本呼吸器外科学会雑誌
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長期生存中の肺癌骨転移の1切除例
樋口 光徳大杉 純塩 豊鈴木 弘行藤生 浩一管野 隆三大石 明雄後藤 満一
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2001 年 15 巻 7 号 p. 791-795

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抄録

症例は61歳男性, 検診にて胸部異常陰影を指摘され, 精査にて左肩甲骨転移を伴う左肺S4の腺癌と診断された.術前CEAは96.8ng/mlと高値を示した.左肺楔状上葉切除術・左肩甲骨摘除術を行った.術後補助療法として化学療法および縦隔に対し計60Gyの放射線療法を施行した.初回手術後1年4ヵ月の胸部CTにて左S6に小結節を認め, 結節の増大およびCEAの漸増を認めたため, 左S6の結節巣に対し左肺部分切除術を施行・摘出標本の病理により前回の肺腺癌の肺内転移と診断された.初回手術後6年4ヵ月経過した現在, 遠隔転移・局所再発の兆候は認めず無担癌生存中である.骨転移を有する進行非小細胞肺癌の治療成績は極めて不良である.また骨転移巣に対する局所治療はQOLの改善が主体であり, 予後には関係しないとされている.しかし, 単発性の骨転移では本症例のように長期生存の報告もあり, 外科的切除の適応となる可能性がある.

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