抄録
症例は52歳, 女性. 2000年7月人間ドックで胸部異常陰影を指摘されていたが放置していた. 同年12月近医を受診し, 胸部単純X線写真, 胸部CT検査にて肺癌を疑われ, 精査のため当院を紹介された. 同年12月気管支鏡検査では診断がつかず, CTガイド下肺生検では炎症, 乳頭腫の疑い, との診断であったが, 患者の希望で経過観察していた.2001年2月胸部CT検査では腫瘍径などに変化はなかったが, 肺癌を否定できず, 同年3月胸腔鏡下に肺部分切除を行った. 腫瘍は右中葉に位置し, 弾性軟, 14×11mm, 灰白色, 境界は比較的平滑で, 扁平上皮性乳頭腫と診断された. 肺癌, 炎症などとの鑑別に苦慮した比較的稀な肺腫瘍, 扁平上皮性乳頭腫を経験したので, 文献的考察を加え報告した.