日本呼吸器外科学会雑誌
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特発性血気胸症例の検討
西村 謙吾徳島 武福田 幹久中井 勲
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2002 年 16 巻 4 号 p. 524-527

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抄録

特発性血気胸の臨床的特徴について検討した.1978年1月から2001年5月までに当院で経験した特発性血気胸は15例で, 同時期の自然気胸症例の1.4%であった.年齢は18~56歳で平均35.7歳, 15例中13例は男性で, 罹患側に左右差はなかった.15例中14例は気胸初発例であった.症状は, 全例に激しい胸痛があり, ショック症状を3例に認めた.総出血量は400~7, 100mlで平均1, 459mlであった.治療方針として, 1978年から1992年までの胸腔鏡導入前では保存的治療だけでは不十分であった11例中6例に開胸術を施行した.胸腔鏡導入後の1992年以降は, 4例全例に胸腔鏡手術を施行した.手術時間, 術後の在院日数, 手術までの時間, 術中出血量, 術後のドレーンの留置期間において胸腔鏡下手術例の方が, 開胸術例に比べ良好な結果であった.特発性血気胸に対して, 早期の胸腔鏡下手術が第一選択になりうると思われた.

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