2003 年 17 巻 1 号 p. 8-12
胸腔鏡下に手術を施行した縦隔腫瘍41例について, 臨床的に検討した.対象は男性16例, 女性25例, 平均年齢50.4歳, 疾患別には胸腺腫6例, 胸腺嚢腫6例, 神経原性腫瘍12例, 気管支嚢腫7例, 心膜嚢腫2例, 奇形腫2例, その他6例で, 腫瘍の部位は前縦隔17例, 中縦隔8例, 後縦隔13例, 上縦隔3例で腫瘍径は平均4.6cmであった.術式は胸腔鏡のみによる摘出が20例, 小開胸併用16例, 通常開胸への移行例3例, 生検2例であった.ポート数は平均3.1ヵ所, 手術時間は175±78分であった.出血量 (83±160g), 胸腔ドレーン留置期間 (1.1±0.7日), 術後入院期間 (7.7±4.3日) は同時期の胸骨正中切開症例と比較し有意に少なかった.術後合併症は3例 (7.3%) に認めたが, 術死や在院死はなかった.縦隔腫瘍に対する胸腔鏡下手術は低侵襲で安全な手術であり, 小開胸の併用や適切なポートの追加によりどの部位の縦隔腫瘍に対してもアプローチ可能であると考えられた.